君に咲く花火
なにかが胸からこみあがってくる。


心臓?


息ができない。

「チューレンは、親がつけるね。悪魔に子供をとられないように、動物、食べ物、体のこととか」

ソムチャイの言葉は、ささやくように聞こえる。

そして、どんな言葉よりもすっと頭に入ってきた。

「うん」

うなずくと、ソムチャイのシャツが鼻をくすぐった。

時間が、本当に止まってほしい。

お姉ちゃんなら、きっとうれしすぎて泣いてるはず。

こんなに感動しているのに、私はまだ泣けない。

目を閉じてみてもそれは同じだった。

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