君に咲く花火
「警察よぶ」

そう言って携帯を取り出したソムサックの手を私はつかんだ。

「いいの。無事に戻れたし、たぶん本当に渡辺社長は知らなかったと思うの」

「でもっ」

「渡辺社長」

私はまだ仰向けに倒れたままの渡辺社長に声をかけた。

「人を好きになる気持ち、私すごくわかる。どうしようもないくらい好きで、でも、どうしようもなくって・・・。私は無事に戻れたから、もうなにも思わない。でも、でもね」
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