君に咲く花火
静かに渡辺社長の目が開くのを確認して、私は続けた。

「アイスを傷つけた。間接的にでも、アイスを傷つけたこと。それだけは許せない」

「社長」

お姉ちゃんが口を開いた。

「私、今日でここを辞めます。これからはプロイホテルをソムサックと一緒にやってゆくつもりです」

「・・・わかった。すまない」

そう言う渡辺社長の声は、一気に何歳も歳を重ねたように老けて聞こえた。
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