一生に二度の初恋を『あなたへ』


「うっせぇ。俺は思ったことしか言わねぇんだよ。

それにこいつビクビクして笑わないとブスだし」


そこに結愛ちゃんがツッコミを入れる。



「女の子に、ブスとかなっか最悪。優は緊張してたんですぅー。

それにいつもムスッとしてるなっかには言われたくないよね、優」

「えっと…」



ビクビクしてたのも事実だけど、絶対中曽根くんの方がムスッとしてるよね。


それでもどっちにつけばいいのか戸惑った。

こういうのがコミュニケーション能力が無いって言うんだよね。


最近それなりに色々話せるようになったと思ったんだけど…こういうとき、わたしは応用力が無くて困る。



「あんまり高梨困らせんなよ」


オレンジジュースとグラスをお盆に乗せて持ってきた斎藤くんは机にそれを置いて座ると、教科書を開いた。



「偉いぞ尚」


瞬くんはそんな斎藤くんに髪の毛をグシャグシャする。



「俺も勉強やるときはやるんだよ」


色んな方向に跳ねたボサボサの髪で拗ねたように言った斎藤くんが何だか可愛くて、また吹き出してしまいそうになった。

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