一生に二度の初恋を『あなたへ』


何で……結愛ちゃんが?結愛ちゃんと斎藤くんが二人きりのところなんて初めて見る。

部活中になにかあったのならわたしが首を突っ込むことでもないけれど……。



呆然と見ていると、結愛ちゃんと目があった。


大丈夫。じゃないよね。


わたしは、靴をしっかりと履かないまま、結愛ちゃんの方へと駆け寄った。



「どうしたの……?」

「ごめん、俺が泣かせた」

「違うよ。これはわたしが勝手に泣いただけで……」

「――ごめんな如月」



わたしに聞かれたくないことでもあるかのように、斎藤くんは結愛ちゃんの言葉を遮って、グラウンドに向かって走っていく。


状況を知らないわたしに気の利いた慰めの言葉なんて見つかるはずもなく、ただ頭をゆっくりと撫でた。


「ごめんね、何でもないよ――……て、そんな嘘吐いたって駄目かな……」

「……」


結愛ちゃんは制服の裾でぐっと涙を拭った。

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