一生に二度の初恋を『あなたへ』


答えはすぐに出てきた。


「春に……逢いたい?」

「うん……逢いたい」


佐藤 春が元気に戻ってくること。



わたしが、高梨 優が。

消えることだ。




「うっ……」


頭が金槌で何度も殴られるように痛くなった。

今までの中で一番酷い頭痛。

でもこの痛みで全て解放されるなら。大切な人が救われるなら。

わたしはどれだけでも堪えれる。


全身の力が抜けた。



「ねぇ‼︎大丈夫⁉︎どうしたの?ねぇ⁉︎優‼︎」


最後に笑ちゃんがわたしの名前を呼んでくれたのは、わたしのきっと都合のいい幻聴でしかないだろう。

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