一生に二度の初恋を『あなたへ』


やっと気付いた。いや、もしかしたらわたしはもうとっくの昔に気付いていたのかもしれない。

わたしは、斎藤くんが好き。



この気持ちは、恋愛感情。



わたしの初恋は気づいた瞬間に失恋でした。

だって、こんなに斎藤くんは春さんのことが好きだもん。


未来が見えてる、叶うことのない恋です。

いない人だなんて、太刀打ちできない。



でも、好き。斎藤くんと同じだ。


この恋は、消そうとしても、消えない恋だ。



顔を上げた斎藤くんをそっと見ると、いつも通りの優しい笑顔で笑っていた。


「ありがとう、高梨。

伝えてくれて、本当のこと教えてくれて、ありがとう。勇気いるよな、こういうのって」

首を大きく横に振って制服の裾をギュッと握った。


斎藤くんは息を大きく吸い込むとゆっくり話し始めた。

「春は、俺が助けられなかった……」



「世界で一番大切な人」

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