一生に二度の初恋を『あなたへ』


それからお母さんとお父さんは離婚した。



今になって思う。わたしはもっと勇気を出してお父さんに立ち向かえたはずだって。


そのときは死にそうなぐらい辛くて、逃げることしか考えてなかったけど、聞けたはずだって。

わたしの何が悪かったのか。もしくはお父さんに何かが起こってその八つ当たりだったのだとしたら何が起こったのか。



わたしは戻って欲しい。昔のお父さんに。


数年経った今、もう一度家族三人でやり直したいって思えるんだ。



でも逢いにはいけない……行かないのは矛盾してるよね。


お父さんが今住んでいるのはわたしたちが住んでいたアパートでもちろんどこにあるかは覚えてるし、一人ででも行ける。


けど、やっぱり蘇ってしまうあの恐怖は、消すことはできなくて、いつも何かと自分の中で理由を付けては行っていない。

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