一生に二度の初恋を『あなたへ』


もう理由も分からなく傷つくのは……嫌。



『お前は俺の子じゃない』

『優、お前なんか生まれてこなきゃ良かったのにな――』



また頭の中で響き始める声に身体が固まり、手が震え出した。


わたしはずっと、お父さんに、距離が離れても何をしても縛られたまま。



だから速く終わらせたい。

逢って、全て終わらせたい。


あのときみたいに戻りたい。

あの家族三人の幸せな日々に。



「はぁ――はぁ――…」


荒ぶった息。襲いかかる頭痛。何か物を投げて暴れたくなるぐらいの苛つき。



何か昔のことに関することを思い出すとたまに起こる、この病気のような症状。

一人になると思い出すことが多いから、だから一人は苦手だ。


でも最近はお母さんが働きにいってるから、そんな時間が増えた。

わたしはずっとこれに苦しめられなければいけないのかな。この家を出るつもりはないけど、わたしはずっと自立出来ずに……。



あぁ……本当に、何なの。

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