一生に二度の初恋を『あなたへ』


収まってよ‼︎


小刻みに震える手を、もう片方の手で必死に押さえるように手首を握る。



逢わなきゃいけないんだよ、わたしは。


現実に向き合って、どんな真実も受け入れる勇気を出さなきゃいけないんだよ。そしたら解放されるよ?



でもーー逢いたくない……。


あんな思いをもう一度したら心が押し潰されて、もうわたしは生きれない。



矛盾した感情が同じ数だけわたしに襲いかかってくる。



『優、お願いだから消えてくれ』

言葉がまた降ってきた。


わたしは近くにあった毛布を頭から被った。

聞きたくない……!!


助けてよ、お願いだから。誰か。誰か。



誰かに助けて欲しいと思ったとき、ずっと思い浮かぶのは顔の見えない、モヤモヤした霧のかかったような人だった。そんな人に焦がれていた。


でも、今は違う。



ねぇ。斎藤くん。逢いたいよ…。

あのときみたいに斎藤くんの声で全部かきけして欲しいよ……。



「――…っ」


過去のわたしも今のわたしも変わっていない。斎藤くんの言葉で少しは変われたと思ってた……けど、わたしはまだ。

この頭痛をはね返せるほど、大きくは変われてなかった。

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