一生に二度の初恋を『あなたへ』
わたし、春さんと顔がそっくりだって斎藤くん前言ってたよね。
わたしが春さんになれたら――…斎藤くんは笑顔になって、春さんへの想いはわたしの方に向くのだろうか。
不意にそんな考えが頭を過ったけれどすぐに否定した。
そんなの無理に決まってるじゃん……何考えてるんだろ。
自分の考えたことが卑怯なことのような気がして、気持ち悪くなった。
ちょっと良い風にクラスの人たちに言われたからって……。
『王子様』『お姫様』
その格下にいる『わたし』。
恋に期待を持っちゃいけない。
まだ恋愛のことなんてよく知らないのに、何故か何度も頭がそうわたしに強く警告していた。