一生に二度の初恋を『あなたへ』


わたし、春さんと顔がそっくりだって斎藤くん前言ってたよね。


わたしが春さんになれたら――…斎藤くんは笑顔になって、春さんへの想いはわたしの方に向くのだろうか。



不意にそんな考えが頭を過ったけれどすぐに否定した。

そんなの無理に決まってるじゃん……何考えてるんだろ。


自分の考えたことが卑怯なことのような気がして、気持ち悪くなった。



ちょっと良い風にクラスの人たちに言われたからって……。




『王子様』『お姫様』

その格下にいる『わたし』。


恋に期待を持っちゃいけない。

まだ恋愛のことなんてよく知らないのに、何故か何度も頭がそうわたしに強く警告していた。

< 87 / 215 >

この作品をシェア

pagetop