一生に二度の初恋を『あなたへ』
ーーミーン、ミンミーン
一匹の蝉の声。
アナログ時計の針はちょうど五時を指している。
朝早いこの時間帯は蝉がまだ起きていないのか、昼間ほど五月蝿くは鳴いていない。
聞こえるのはかすかな蝉の声とたまに発進する車のエンジンの音。
『夏の静けさってあんまりないから早起きって好き』
結愛ちゃんにこの前そんなことを言ってみた。
『わたしのおばあちゃんも前にそんなようなこと言ってたなー。でも分かる気がする』
言ってみるものだよね。
小さな共感がすごく嬉しい。
最近わたしは、自分が感じたことを伝えるように努力中。
伝えるようになって分かったことは、やっぱり考え方は人それぞれってこと。
当たり前のこと過ぎて笑っちゃうんだけど、同じ世界にいたとしても一人一人違う新しい世界があるんだなって実感した。