劣等審判
「千葉に選択肢をあげる」

僕は足音をならさず、千葉の前に出た。殺されることに怯えている様子はない。やはり、彼はわからない。

「このナイフで殺されるか。拳銃で殺されるか、選ばせてあげるよ」

彼はつまらなそうに差し出した拳銃とナイフを見つめる。

「っはは…」

俯き、いきなり笑い出した。

「ははははははははっ!!」

「なに!気持ち悪いわ…」

突然大声で笑い出した千葉に宮城は引いている。気持ち悪い。もう彼は、『わからない』を越えている気がする。

「選択肢…そうだな。拳銃にしようか。でも、ただ殺すだけじゃつまらねぇ。あれ、しようぜ?」

千葉は無言で山口に縄をほどくように言った(?)。肩や腕を適当に回し、拳銃を取った。

「ロシアンルーレット」

こめかみに銃を突きつけるあれのことだ。
< 76 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop