psi 力ある者 愛の行方 


聞きたくないって言われても、何かが起きてからじゃ遅いんだよ。
もしも泉が力ある者だったら。
力ある者同士の禁忌を犯してしまったら。
待っているのは―――――…。

その先の未来を勝手に想像し、背筋が凍りつく。

私の口は、泉の手のひらで押さえられたままだった。
けれど、そうされなくても既に何かを口にする気力は萎えていた。
恐ろしい未来を想像しただけで、全身の力が奪われていくようだ。

私が話さないと判ると、泉の手が離れていく。

「未知さ。あいつが来てから変わったよね」

俯き前髪が目元を隠す。

「え……? 変わった?」
「気付いてないんだ……」

問い掛けた私へ、含んだように浮かべる薄い笑い。

「良い意味では明るくなった。けど、それはあいつに対してだけ。あいつだけが特別みたいで、俺にしてみたら……納得がいかない」

確かに、陸が来るまで、口数の少ない私が唯一学校で一番よく話をしていた相手は泉だった。
人懐っこい泉を、私は無碍に遠ざけられずにいた。
だからと言って―――――。

「でも、陸は――――」
「――――弟って言いたいんでしょ? もう、何回も聞いた、そのセリフ……」

呆れた様に、諦めたように、泉は溜息を吐く。

「弟とか言ってるけどさ。あいつと誕生日何日違うわけ?」
「……一日」
「たった一日なんて、弟っていえないよ」

その言葉と共に、泉は俯いていた顔を上げる。
目が合ったその表情は、憤りを隠しきれないといった強張った顔だった。


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