psi 力ある者 愛の行方 


ひとしきり、祖母の胸で涙を流して落ち着いてきた頃。
祖母が顔を覗き込むようにして、瞳を真っ直ぐ見つめてきた。

「体は、大丈夫かい?」
「うん……。少しダルイけど……平気。あのね、お祖母ちゃん――――」

私が陸と自分のことを口にしようとすると、祖母がみなまで言うなというように制する。

「未知や、未知の周りに起きている異変のことだけれどね……」

言葉を選ぶように、祖母が話し出す。

「未知が考えているように、……それは力のせいだよ……」
「うん……」

屋上で具合が悪くなったのも力を持っているせいで、まともに黒谷の憎念を受けてしまったから。
その後、体調が優れなかったのは、黒谷に受けたものと、更に泉に想いをぶつけられたから。
けれど、それも夏休みに入り、すっかり回復していた。

なのに、また――――。

力あるものに近づいてなどいないのに。
憎念などぶつけられてなどいないのに……。
どうして……。

この力がどんな副作用を引き起こし、陸を苦しめているのだろう。

「姉弟が……できたんだね……」
「うん」

私の心から全てを読み取った祖母は、父の再婚も、姉弟ができた事も全て理解していた。


< 154 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop