チャンスの神はここにいる

「こんなのがいいんか?」
遠藤が亮平君のスーツを引っ張り前に出すと

「遠藤さんひどいー」
咲ちゃんはいじらしい表情で亮平君を見上げた。

「付き合っちゃえば?」

とんでもない遠藤の一言に笑顔が消える私。
今カメラに抜かれたらクビになるかも。
そのくらい
きっと表情のない顔。

亮平君と咲ちゃんが冷やかされてる。

2人並ぶとお似合い。

美男美女。
私より似合ってる?

酸っぱい気持ちがこみ上げて
笑顔が出てこない。

「ちゅーでもしちゃう?」
オネエタレントが調子にのって声を上げたから私の頭に血が上る。

おーのーれーー!
メイク道具とあんたのヅラ
ドブ川に捨ててやるっ!
そこにピラニア放ってやるっ!

ひな壇も盛り上がり
「ちゅー」とか騒ぎだす。

嫌だよ
ちゅーなんかしないで

咲ちゃんと公認にならないで。

唇を噛んでいると
咲ちゃんが「いやだぁ」って照れ

亮平君は

「ちゅーしたいんですけど、彼女が見てるからごめんなさい」

堂々と

そう言った。

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