チャンスの神はここにいる

「お前……自己紹介のハート型のカード。髪に付けてたろ」

「うん」
何となく
皆と同じ場所じゃ目立たなくて
ポニーテールにくっつけた。

「頭を下げると、このカードが嫌でも目立って名前に目が行く」

言われてテレビ画面に集中すると

本当だ
身体を丸めて頭を下げてるので
ネームカードはしっかり目立ってる。

「よくやった」

俺様大魔王に初めて褒められた。
明日は大雨。

これが
ピンチをチャンスにって話なのか。

一時停止がまた解かれ
私の自己紹介が流れる。

「たどたどしくて、イマイチだけど。まぁ……これはこれでよし」

怒られると思っていたから
一気にヘナヘナ崩れる私。

「純哉が言うから間違いない」
亮平君が崩れる私の肩を抱き
私は甘えて身体を任せる。

「問題は……ここから」
俺様大魔王の眼鏡がキラリン光り
ドS本領発揮。

カメラ映りのダメ出しを山ほどくらい
布団圧縮袋気分で、意欲を吸い取られてしまった。

亮平君はいつもこの大魔王のダメ出しをくらってるのだろうか……メンタル強くなるわー。

てか
彼氏の亮平君が『メグちゃん』って私を呼んでるのに

なんで純哉君は『お前』なの?

どーゆーこったい?

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