完璧上司は激甘主義!?
それはつまり、私の企画案を採用してくれるということになったわけだけど、複雑な気持ちでふたりが契約云々の話をしているのを聞いていた。
だってなんか、フェアじゃない気がして仕方ない。
斗真達だって私と同じように、今日まで一生懸命企画案を練っていたというのに、プレゼンもせずに採用になってしまっても素直に喜べない。

だけどあの高畑ミミがオーダーメイドのドレスを制作してくれる。なんて、またとないチャンスなのだろう。
話を聞いた部長はそれはもう喜んで、私の背中を何度も叩いては誉めただえてくれたけれど……。
素直に喜ぶことなんて出来なかった。


「それにしてもドラマみたいな話だな。たまたま通りかかって入った店が、あの有名な高畑ミミの店だったなんて。……神様はちゃんと見てくれているんだよ。きっと失恋したばかりの麻帆に、神様がご褒美をくれたんじゃねぇの?」

「……そう、なのかな」

「そうだって」

久し振りに訪れた居酒屋で、斗真はビールを飲みながら「良かったな」なんて言っている。
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