完璧上司は激甘主義!?
ズボラ部下と一夜を共にする方法
「南課長、よかったらどうぞ」

そう言っていつも俺のベストポジションにカップを置いてくれるのは、今年入社したばかりの新人、新 麻帆。

「ありがとう」

目線はパソコンの画面のまま礼を述べると、新は静かに去っていく。

毎年女性新入社員がお茶出しをするという暗黙のルールに則り、今年は新を含めた三人でローテンション組んで出してくれているが……。

パソコンキーを打つ手を休め、カップに手を伸ばす。
そして一口飲むと、違いが分かる。

やっぱりお茶であっても、珈琲であっても今年は新のが一番美味いな。
少しだけホッとさせられ、口元が緩みそうになりつつも、ここは職場。
課長である俺が仕事中にだらしない顔をするわけにはいかない。

すぐにカップを机に置き、仕事を再開させた。


【他人に厳しく、自分にはそれ以上に厳しく】

これが俺の仕事に対するモットーだ。
部下には厳しく接する。
だけどそれ以上に自分自身には、もっと厳しくを心がけている。
誰だってそうだと思うが、自分に甘く人には厳しい上司なんかの下では、働きたくない。
なのに最悪なことに、入社して最初についた上司は、そんな男だった。
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