完璧上司は激甘主義!?
「マジウケる!潔癖上司のくせに、気にしちゃっていたとか!」

「黙れ」

騒がしい店内では、裕介のように大騒ぎしている連中もおり、決して目立っているわけではないけれど、大の大人の男がバカにされているのだから、腹が立つ。

「第一俺は、一度たりとも職場の連中に潔癖症であることを言っていないし、強要もしていないんだぞ?なのにおかしいだろ?あだ名が“潔癖上司”だなんて」

一気にビールを流し込み、半ばやけくそになりながら追加のビールを注文する。
確かに俺は昔から綺麗好きな方で、ちょっとしたことでも気になってしまう。
だけどそれは自分自身にだけであって、他人に強要したことがない。
なのに気付けば俺は、社内中の女子から“潔癖上司”と呼ばれていたのだ。

追加で頼んだビールはすぐに届き、冷え切ったビールを再び胃に流し込むと、裕介は俺の話を否定するように言ってきた。

「いやいや、篤人さ自分で気付いていないかもしれないけど、けっこう顔に出てるぞ?」

「は?顔に?」

「あぁ」

「どこがだよ」

心外だ。
逆にどんなところで顔に出ているのかと聞いてみれば、次々に言葉が返ってきた。
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