完璧上司は激甘主義!?
「……裕介の言うように少し女性社員に優しくすれば、恋愛できるのかもしれないな」

あれから居酒屋を後にし、その場で裕介と別れ駅へと向かう途中、ついひとり言を漏らしてしまった。
だけど自傷的なひとり事も、この沢山の人混みの中では空気のように消えていく。

別に本気で恋愛がしたいわけじゃない。
でも、世の中は全て思っていたような未来を描けるわけではなく、むしろ逆方向に向かっているのではないかとも思える。
潔癖症だって好きでなったわけじゃない。
特に意識していたつもりはなかった。

でも早くに父親を亡くし、その分母親が仕事人間で、歳の離れた妹の面倒を見るのが俺の日課となっていた。
疲れて帰ってくる母親に少しでもゆっくりしてもらおうと、家の掃除や家事をしているうちに楽しいって思えるようになり、そして次第にきれいじゃないと落ち着かなくなっていった。
そんな俺に付き合った女性はドン引きしていった。別に彼女達に強要したことなどないのに。

学生時代はそれなりに女性と付き合ってきたけれど、皆同じ理由で別れを告げてくる。
そうなると社会人になってまで、付き合いたいとは思えなくなっていった。

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