あなたと出会ったから私は変われたの
ヒカリとの会話の後―
「スッゲー書いたな…;」

ヒカリの説明にそって書いていった。
メモの紙は文字でびっしりと埋まっていた。
そのメモを見て俺は自分で書いた事自体に驚いていた。
こりゃ確かに話しを聞いたほうが速いって言うのも納得だよな。
教室に戻ってメモを整理しつつノートに書き込んでいく。
全てを着込み終えたおれは、ノートを持って職員室に提出に行こうとしたとき背中に殺気を感じた。
そのまま素通りしようとしたけれど、それは無理だった。
てか、囲まれた。あ…嫌な予感。
「誰との電話だ?」
「え~と…」
「女子…だ・よ・ねぇ~?」
笑顔じゃねぇよな?!それ笑顔じゃねぇよな?!
声も低すぎて怖いっつーの!
どれだけ女子と話したいんだよお前等は!!
「全て吐き出せゴルァァ~!!」
「うるせぇバカ共!!」
隙をついて俺は教室から走り出した。
その俺の後を追いかけてくるクラスメイトの男子共。
正直言って超怖い。だって鬼みてぇな顔で追いかけてくるんだぞ?!
そりゃ怖いだろうが!
ギリギリのところで、生徒指導の教師に男子共は捕まって今説教をされている。
ご愁傷様、ざまぁみろww
職員室に入れば、教師がいて俺はノートを提出した。
俺は教室に戻ろうと思ったけど、チェックするからと言われその場に立ったまま。
「降旗、自分で調べたのか?」
「?いえ、詳しい人がいたんでその人に聞きました。」
「誰だ?」
「チャットで知り合った人ですけど。」
「メモか何かあれば見せてくれるか?」
「コレですけど。」
メモの紙を教師に手渡す。
何?俺なんか悪い事した?!
「…平川か?」
「平川ってあの?!」
周りの教師がざわつく。平川?誰だそれ?ヒカリの本名とか?
「降旗、平川って知っているか?」
「知らないですけど…」
その後俺は、何でか平川って奴の話しを聞かされた。
何で俺が聞かなきゃなんねぇんだかわからねぇ。
入試でトップを取った奴らしい。
この学校じゃ前代未聞らしいけど。俺は知らん。
筆記試験・面接試験も完璧。
それなのに、入学式どころか一度も学校に来ていないらしい。
なんつーか、謎の生徒らしい。
んな説明されても、俺は興味無いっつーの。
「何で今平川って奴の話を?」
「入試の答えと似ていたからな。」
入試?そんなもん全く持って記憶に無い。
それ以上に、入試のことなんて思い出したくもねぇ。
そこから先、俺はずっと平川の説明を聞いていた。
おかげで授業には遅れたけどな。
でもサボることが出来たからそれでよかったのかもしれない。
遅れた授業は俺の一番嫌いとする英語なんだから。

英語の次は数学。
要点をまとめて説明している教師を視界に捉えつつも、頭の中はヒカリのことでいっぱいだった。
どうして学校に来ない?事情があってこないと話してはくれたけれど、深入りはしていない。
…会いたいって言ったら会ってくれるだろうか?
たまたま暇つぶしで見ていたチャットで気になったから書き込んでみただけ。
それでなんとなく話が合うから、チャットで会話をするようになっただけの関係なんだ。
チャットで会話しているだけであって、声を互いに聞いたのだって今日が初めてだ。
そこまで図々しくはできない。
それでも、会ってみたいという気持ちが膨らんでいった。
声を聞いたとき正直焦った。
女子だろうということは何となく想像ついていた。
チャットでの口調は全くと言っていいほど男だとは思えなかったから。
だから女子だろうとはわかっていた…わかってはいたんだけど…
思いのほか声が澄んでいて、椅子から落ちそうになった。
他の奴に聞かれて携帯の争奪戦にもなった。
ヒカリの声は澄んでいるのにハッキリと聞こえて、説明もわかりやすかった。要点を押さえて、ちょくちょくとメモを取れているか確認もしつつゆっくりと話してくれた。

…平川ってヒカリなのか?
俺の席の隣は空席。そこの席が平川の席だったりする。
知ったのはついさっきだけど。
直接聞いてみるか?でも答えてくれるのかわからない。

…それにしても本当に声が可愛かった…
別に声フェチじゃないぞ。断じて違うからな。誤解すんなよ?
信じられないくらい、可愛い声だったんだ。

…なんで学校に来ないのかが知りたい。
ヒカルも学校の事に関して何も話さない。
よくよく考えてみると共通することが多い。
考えすぎなのかもしれない。同一人物?その可能性も十分ある。
一度気になると解決したくなる俺の悪い癖。
もやもやして気持わりぃ…
あーーー!!!モヤモヤすんなぁ畜生!!

チャットで聞くしかねぇか。
でも答えてくれるか不安だ。
もしかしたら二度とチャットも返答してくれないかもしれない。

ウジウジ考えるのは一度やめよう。
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