女スパイとオセロ王子
「あ、女スパイ」

「歩くの早っ!」


学校に近づくにつれて、あたしの噂話をしている人が増えてくる。


毎日毎日制服を着て、

毎日毎日ここに来る人たちは、

毎日毎日飽きもせず、同じ話題を繰り返す。


ああ、本当はこんなはずじゃなかった。


地味に生きることだけは一生懸命やってきたのに。


やっぱり努力なんて報われないよ。


あたしは今日も憂鬱な気分でため息をつきながら、校門をくぐった。

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