女スパイとオセロ王子

甘いお菓子と操り人形

その後も小声で《パ》の音を発している何人かをぐんぐん追い抜いて、玄関に入る。


顔を上げると、自分の下駄箱のある列の廊下に、見覚えのある後ろ姿を見つけた。


元から小柄な体をより華奢に見せるための、大きめのカーディガン。

長くもなければ短すぎることもない、先生にも男子にも印象のいい丈のスカートから伸びる白い足。


びっくりするほど内股。

たぶん後ろからちょっと押すだけで、バランスを崩して倒れると思う。


やわらかいウェーブのかかった茶色の長い髪を、今日はトップでゆるめのおだんごにしていた。


細い首も、やっぱり白い。

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