水綿花
エピローグ?
目覚まし時計のピピピピという音が聞こえてきた。
カーテンの隙間からはあたたかい日差しが差し込んできている。
僕は目を覚ました。
「おーい、お兄。朝だよ起きろこらー!」
妹の柊が起こしにきたようだ。
「あー、起きてるよ」
「な、なんだと!?あのお兄が?いつも安らかにお眠りになってるお兄が?」
あれ僕なんか死んでるように言われてないかな
「あれ最早お兄って誰だっけそんなものいたっけか」
存在を否定された泣きたい。
「とにかくはやく起きてよねお母さん怒っちゃうから」
「はいはーい」
「はいは一回!」
「はい」
お前はなんだ親なのか?僕の親なんですか?アハハハ
とにかく学校に行く準備をしなければならない。
自分のベッドから降りるとドアの近くのクローゼットの扉を開ける。
中から真新しい日向高校の制服を取りだすと着替え、洗面所へと向かった。
鏡をみるとなんの変哲もない自分がうつっていた。当たり前だが
洗面台のにある蛇口を捻り水をだすと手にすくって顔を洗う。
冷たい水で顔を洗ったため、ようやく眠気が消えた。
「あいつらは元気にしてるかな」
あいつらとは今から十年前の夏、家も近く親どうしも仲が良かったためにずっと一緒にいた幼なじみ3人のことだ。幼なじみ三人とは中学一年の時まで一緒だった。
しかし、僕だけ引っ越すことになってしまい、その場所を離れなければならなかったのだ。
とはいえ、べつにそれほど遠いところに引っ越したわけではなかったので高校だけはあいつらがいる町にひとつだけある高校を受け、合格することができたのだ。
その三人も日向高校を受けて合格したと言っていたのでまた会えるだろうきっと。
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