私は彼に愛されているらしい
「27個って…そんなにすんの?」

「年の数だけ。」

「私が旦那にお願いしたら倒れるかキレるかどっちかよ!数えたくもない!でも27も結構な数字ね。てか、あんたたちまだ若いのねー。」

確かに舞さんからしたらアカツキくんは10程違うからそう思うのは仕方ないのか。でもどう答えていいか分からないので、苦笑いでやり過ごした。

明らかに策が尽きた態度の私に肩をすくめると舞さんは具体的に見るために顔を近付ける。

「見てもいいの?」

「今更ですよね。」

チクリと刺すように返せば舞さんは乾いた笑いで頭を掻いた。

「年の数だけミニチョコとか渡せば?」

「あ、それいい!」

いい案を頂けて私はすぐにメモをする。

「独身最後の誕生日になるんだったら、みちるのフルネームを使う様なことしたら印象的かもね。」

「フルネーム、ですか?」

「結婚したら離婚するまで、清水みちるには会えないよ?」

その言葉は私の中に深く染み込んできた。

私は清水みちるではなくなる。

何とも言い難い重いものが体にのしかかってきたようだ、なんだろうこの気持ち。

でも。

「そうですよね。」

妙に納得している自分がいた。

横目で見れば舞さんの左手の薬指には指輪が光っている。毎日つけているから馴染みすぎて当然の景色になっているがこれって凄いことなんだなとしみじみ思った。

< 117 / 138 >

この作品をシェア

pagetop