無口な彼が欲望に忠実すぎて甘い
『付き合って』の違い
その日の放課後。
みんな帰って行くなか、私は白井君との約束があるので席を立てないでいた。
斜め前方、だいぶ離れた席の白井君を窺うと、ちょうどバックに荷物を詰めている所だった。
「白井君、このまえの続きでいいんだよね?」
『……あぁ…』
私たち二人は学祭の出し物の小道具係になっていた。
とはいっても、そこは自由奔放な白井君。
もっぱら雑務と連絡は私がやって、あとは珍しくやりたそうだったポスターの主導をしてもらっている。
「…じゃあ、さっさとやっちゃおうか!」
これまでは完全分業制。
だけど授業時間に準備するようになってからは、一緒に作業することも増えていた。
『………あのさ』
「ん?なにかわからない?」
そんな時、あまり人に頼りたがらない彼も、私にはちゃんと質問してくれる。
それが子供になつかれたようで嬉しくて、ついつい白井君のお願いに甘い顔をしてしまうのだ。