初恋はカフェ・ラテ色
「柴田、今のどういうことだよ」

私たちのことを見ていたらしい太一が近寄ってきて小声で聞いてくる。

「今のって?」

とぼけてみるけれど、太一の顔があまりにも真剣で小首を傾げてしまう。

「髪にキスされてたじゃん。どうなってんだよ」

さっき私には望みがないとからかったばかりだからそんなに驚いているかな。

「私、両想いになったの」
「えええっ!!!」

恥ずかしくてはにかんだ笑みを浮かべながら知らせると、太一は店全体に響くような声を上げた。

店内のお客様が全員こちらを驚いて見る。

「あっ! すみません!」

太一は礼儀正しくお客様たちに頭を下げる。それから私の方に向き直り、睨みつけるように見られた。

「よかったな」

それだけ言うと、太一は帰っていくお客様のテーブルを片付けに行ってしまった。

あんなに驚くなんて思わなかったな。やっぱり傍から見ても叶わない恋だったのかも。

そんなことを考えながら、バッグに手をかける。

洋輔さんが忙しくて話が出来ない場合のために、いつもB5サイズのスケッチブックと色鉛筆を持ち歩いている。

暇を持て余し、テーブルの上にスケッチブックを出してスイカの絵を描き始めた。

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