初恋はカフェ・ラテ色
20歳の成人式の日、洋輔さんに見てもらいたくて退屈な式典が終わるのを今か今かと待ったのち、カフェに遊びに行ったのだ。

そのときもステキな花束を用意してくれていた。あの時は黄色のバラが20本。それと0.3カラットの一粒ダイヤのネックレスを。

あまりに高価なものだったから返そうとしたら洋輔さんは「心春は大事なお客様だから」だった。

好きだからじゃなく、大事なお客様だから。

ステキなプレゼントに心を躍らせたけれど、悲しみの方が勝っていた。

それからあと一回プレゼントをもらっている。

それは大学の卒業式の日。今度はカサブランカの大きな花束と華奢でスタイリッシュな腕時計。

高校卒業式の日にもらった万年筆は大学時代ずっと使っていた。とても書き心地がよく、持っているだけで幸せだった。

けれど、一粒ダイヤのネックレスや腕時計は一度もつけずにドレッサーの奥にしまっている。

次に告白する勇気が出たときに身につけようと、願掛けのような感じで大事にしまっていた。
 
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