初恋はカフェ・ラテ色
インターホンを押そうか、マンションのエントランスで迷う。

鍵は持っている。

眠っていたら起こしてしまうし……。

少し考えた結果、インターホンを鳴らさずに入ることにした。

静かにカギを回し中へ入る。

耳を澄ませて部屋の中の音を聞いても、シーンと静まり返っている。そのとき、かすかに咳き込む音が聞こえてきた。

そっとリビングに入り、コンビニで買ってきた飲み物をテーブルに置く。

薬飲んだのかな。

洋輔さんの寝室のドアノブに手をかけた。

今も中から洋輔さんの咳が聞こえてくる。

一瞬開けるのをためらう。それは太一の言葉が脳裏をかすめたから。

軽く首を振ると口元をぎゅっと引き締めて、ドアを開けた。

背を向けて横になっていた洋輔さんはドアの開く音で、気怠そうな瞳でこちらを見た。

私を見た瞬間、その目が大きく開く。

「洋輔さん、具合は? 熱は?」

私がベッドに近づくと、洋輔さんは腕をシーツに付いて身体を起こそうとする。

「いいの。起きないで」

身体を起こすのを止めると、洋輔さんはぐったりと枕に頭を沈めた。

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