初恋はカフェ・ラテ色
「順平さんに任せて碁を打ちに行ったんでしょう! もうっ、お店が忙しいのに」

順平さんは苦笑いを浮かべながら、手際よく豆大福の生地にあんこを入れてくるくるっと包んでいく。

お父さんの豆大福と全く同じに作れるようになったなと、感心する。最初の頃は私がやった方がましだったもんね。

「はい! お待たせしました。とりあえず15個どうぞ」
「ありがとうございます」

お礼を言うと、豆大福をお店へ持っていく。

豆大福を待っていたお客様がいた。そのあともお客さんは途切れることがなく、こんなのは珍しいくらいだった。

18時になり残りも少なくなったところでお母さんがのれんを外しに行き、私のお手伝いも終了。

「お父さんったらまだ帰って来ないのかしら。もう夕食だっていうのに」
「碁を打ちに行った後は、ぶ~ちゃんで飲んでくるんだからまだ帰って来ないよ」

エプロンを外しながら居間に上がる。

「じゃあ、今日は手伝ってくれたから特別にうな重でも頼みましょうか。お祖母ちゃんも好物だし」
「あ! 私はいらないから。これから出かけてくる」
「これから出かけるの? 誰と?」
「洋輔さんのところ」
 
ついでに帯を外すと、ふっと締め付けがなくなり気持ちがいい。

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