初恋はカフェ・ラテ色
洋輔さんの口からデ、デート? 嘘……聞き間違いだよ。

『心春?』

暴れる鼓動を右手で押さえるようにして、とにかく冷静にと自分に言い聞かせる。

「う、うん」

思わず躊躇する声になってしまう。

もう大学生じゃないから平日に時間があるわけじゃない。

洋輔さんのお休みは基本、水曜日だけだから。行くって言ったらその日、私の仕事が終わってからになっちゃう。

そうなるとお出かけしている時間は少なくて……水曜日の保育時間は午前中までだけど、そのあとすぐに帰れるわけじゃない。

どうせなら夏休みに出かけたい。

「洋輔さん、夏休みじゃダメ?」

年に2回しか出かけない1回を短い時間で終わらせたくなくてそう聞いていた。

一瞬間が空いてから洋輔さんは口を開いた。

『夏休み? ずいぶん先だろう? 来週の土曜日、出かけよう。それとも用事がある?』
「来週の土曜日って、カフェはお休みじゃないよね? どうするの?」

まさか土曜日に誘ってくれるなんて思いもよらなく、カフェを心配する言葉が出る。

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