初恋はカフェ・ラテ色
『進藤君もいるし、俺がいなくてもカフェは大丈夫だよ』

私のカフェへの心配が可笑しかったのだろう、笑い声がする。

「本当に? 本当に土曜日でいいの?」

脚が地面を離れ、天井にまで浮いてしまいそうな気分だ。

『心春が大丈夫なら』
「うん! 大丈夫! 大丈夫だからっ」
『以前、富士山を近くで見たいって言っていたよな?』
「うん。近くで見たことがないから」
『そっち方面へドライブしよう。朝、6時に迎えに行く。じゃあ、おやすみ』

電話が切れた。

切れた後もスマホを耳に当てたまま、ぼうっとなってしまっていた。

今のは夢じゃないよね? 洋輔さんと土曜日にドライブに行くんだよね? もう嬉しくて今日は眠れないかもしれない。

ベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねて喜びたいくらいだが、実際にそんなことをしたら家が壊れるかもしれない。もしくはお父さんに怒鳴られる。

おとなしくウキウキする心を抑えながら、腕の消毒をしてベッドに横になった。

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