甘い甘い誘惑
そんな私の疑問をよそに、王子様が、こちらに向かって、歩いてきた。

「優里ちゃん、今朝、プリカ忘れていった
でしょ。」

「っえ?」

プリカをヒラヒラしながら、見せてきた。


私は、財布を鞄から出し、中味を確認した。


「ないっ!」

『マジで、恥ずかしい…。
穴があったら入りたい』

気分になる。


きっと、頭から、つま先まで、真っ赤だと
思う。


取り合えず、

「ありがとうございます。」


頭を下げ、お礼を言った。


王子様の手から、プリカを返してもらった。


かえしてもらった時にあることが、気になる。


「何で、私の名前、知ってるんですか?」


「っえ?何でって、プリカの裏に
『木原 優里』って書いてあるだろ」

『そっか。そういうことね。』

カードの裏側を見ながら納得した。

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