甘い甘い誘惑
「…、はーあっ!、誰、それ?」

泣きながら、

「っひっく、あの日、見たもん。
要さんの部屋から出てくる綺麗な人。」

一瞬、要さんは考えて、笑顔になる。

「あ、あれ、あれは、姉ちゃんだよ。」

「???、う・そっ?」

「ウソじゃないよ。
姉ちゃんが、俺の様子見に来ただけだよ。
あの後、風邪、こじらして、肺炎になって、
ちょっと、入院してて、
会いに行けなかったんだ。
おまけに、連絡取りたくても、
優里に着信拒否されてちまうし…。

最悪。

このままでは、納得出来なかったから、
退院してすぐ、優里に会いにいったんだよ。」

「…、そうだったんだ。」

と言ったと同時に、涙を拭うように、顔の線に

そわせて、

『ペロッ』

と舐めてくる。


「ダメ…。
やめて…。」

と両手で、力いっぱい押し退けようとするが、
びくともしない。


「退院したばっかだったら、
ゆっくり寝てなきゃダメだよ。」

「優里で、充電したら、大丈夫。」

そう言って、要さんの顔が、近くづいてキスをしてきた。


噛みつくようなキス。


口腔内に何かが入ってきた。


それは、要の舌だということだと分かった。


逃げようとしても要さんの舌に捕らえられ
捕まる。


だんだん、私は息苦しくなってきた。


要さんが、離れてくれた。


私は、息絶え絶え、

『ハアハア』

と肩を上下に動かした。


「その、上目遣い、マジでヤバイんだけど。」

と言って、いきなり私をお姫さまだっこを
した。


「ちょっと、やめてよ。」

と言って、足をバタバタさせるが、びくとも
しない。


そのまま、要のベッドは、投げるように
寝かされる。
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