一途な彼は俺様モンスター
「…大丈夫。命に別状はないわ」


真由子さんが私の肩をポンと叩く。その言葉を聞いた瞬間、目からは滝のような涙が流れた。




良かった…

本当に良かった…





泣く私を、真由子さんと楓雅がなだめてくれる。顔を上下てみると、楓雅とバネちゃんも泣いていた。




「ったく…空翔のやつ煙をたくさん吸っておった。それにあばらと右腕、それに左足のすねが砕けておる…当分は安静にしないと無理じゃよ」


マサシおじいちゃんは、着ている白衣のような上着からタバコを出して言った。




「でも助かって良かった…空翔とは会える?あ、今は寝てるか…」

「いや起きておるよ…しかし、今はそっとしておけ…」

「…なんで?」


楓雅の言葉に、マサシおじいちゃんはタバコを口にくわえて黙り込んでしまった。真由子さんを見ると、悲しそうに目線をそらしてうつむいている。




なに…?

何かあったの…?






「…すまないがお嬢さん。浅海ちゃんといったね?お茶を一杯入れてくれないか?」


マサシおじいちゃんが私に話しかける。




「は、はい…」


私はキッチンへ行き、人数分のお茶を入れた。空翔を除いたメンバーは全員リビングのテーブルに集まり、なんともいえない重い空気が漂っていた。

楓雅とバネちゃんは、訳が分らない様子で戸惑っている。私だって同じ…


この胸騒ぎはなんだろう…

空翔は助かったのに、なんでこんなに不安な気持ちになるの…?









コト…



「すまないね」

「ありがとう浅海ちゃん」

「いいえ」


テーブルに熱いお茶を置き、マサシおじいちゃんと真由子さんはすぐにお茶を飲み始めた。反対に、私と楓雅とバネちゃんはお茶に手を付けるどころでない状況だ。

マサシおじいちゃんたちから、この重い空気の原因を聞くまでは…リラックスなんて出来ない…







「…」

「…」


黙ってお茶を飲み続ける2人。私たちは、2人が話してくれるのを待つしかない。

空翔の命を救ってくれた2人なんだし、急かしたりなんてことはできないから…








「私が言おうか…?」


最初に口を開いたのは真由子さん。マサシおじいちゃんは少し考えたあと、首を横に振り真由子さんの頭をポンと撫でた。
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