愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 駄目だ、落ちる!

 落ちた衝撃に備えて目をつぶると、突然声がして腕をつかまれた。

「瑠璃!」

 誉が私を引き戻そうとしたが、タイミングが遅かったらしく2人ともガガガと階段をずり落ちる。

 だが、誉が私を守るように抱きしめていたせいで、下に落ちた時そんなに衝撃を受けなかった。

 腕を擦りむいたのかかなりヒリヒリして痛い。

 でも他は何ともなさそうだ。

「いい気味だ」

 目を開けると、成宮が残酷な笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
 この人、狂ってる。

「あんたなんて最低!」 

 起き上がって成宮を睨みつけると、彼はすぐに走り去った。
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