別離路
心の中
でも僕は絶対君を諦めたりしないけどね。だから覚悟しててね
何度も思い出す沢城のあの言葉にすみれの心は少し動揺を覚えた
「恋ってどんな感じなのかなー・・・」
ぽつりと呟く
「すみれ好きな人できたの!?」
「え!?」
横に居た香奈子がすみれの呟きを拾った。香奈子の期待の目で輝いていた
「ち、違うよ、皆お年頃だから好きな人ができるってどんな気持ちなのかなって思っただけだよ」
「恋する気持ちね。好きな人に会えるだけで幸せで触れられると鼓動が早くなるの。嫉妬も覚えてたまに醜い自分が見えてきて嫌になったりするのよ。それでも取られたくないって気持ちが強くなるのよ」
「香奈子ちゃんすごい恋愛してるみたい!かっこいい」
「ふふ」
恋はやっぱりしてみないと分からないだね
でも私はきっと臆病だから好きな人ができたとしても気持ちを伝える事はできないよ
「見て見て、沢城先輩よ!」
「あ~、いつ見ても美しくかっこいいわ~」
女子達は健一郎に黄色い声を上げる
「健一郎、相変わらずのモテぷりだね~」
「明彦も口を開かなかったらモテるだろ」
「それは言わないでよ。でも俺には心に決めた女の子が居るから他の女子には興味ないの!」
「ふーん、もう振られたのか?その好きな子に」
「まだだよ!縁起の悪いこと言わないでくれよ。ただでさその子に俺嫌われてるのに」
「お前の性格なら相当付きまとってるんだろうな・・・相手が可哀想」
「酷いなー」
僕は本当は恋なんてしてる暇なんてないんだ。
時間も残り少ない僕
そんな僕を君は好きになってくれるだろうか
愛してくれるだろうか・・・不安ばかり募る
ただ単純に君が欲しい・・・奪いたい
「今日も居るんですね」