大っ嫌いなアイツに恋をした。
リビングのドアを開けると、橘とお父さんが仲良さそうに話し込んでいた。
「た、橘っ!」
思い切って声をかけると橘は振り返る。
「……お前」
そしてあたしを見た橘は少し固まっていた。
……え?
そんなにこの格好おかしいかな。
あたしなりに可愛いと思われたくてオシャレしたんだけど…
「やっ、やっぱり着替えてくるね!」
慌てて部屋に戻ろうとすると伸びてきた手に腕を掴まれた。
「いい、それで」
ぶっきらぼうな声で言う橘はどこか頬が赤く染まっていた。
「じゃあ、橘くん。美優をよろしく頼むよ」
なぜかお父さんはにこやかであたしたちを送り出してくれた。
本当、どういう風の吹き回しなんだか……