大っ嫌いなアイツに恋をした。
俺は結局、自分から"その道"を選んだ。
『橘はカッコつけて、意地張っちゃうタイプだけど、宮村もそう変わらないんじゃない?』
本当、その通りだよな。
俺も、大概悠月や笹原と変わんねぇや…
ふと、机から顔を上げると俺の方を見ていたらしい笹原と目が合った。
そして、笹原は俺の席までやってきた。
「あ、あのさ……宮村…これ貰ってくれる?」
遠慮がちに俺の前に出したのは……
「何、この黒いヤツ…」
可愛らしいラッピングがされた袋の中には黒い物体が入っていた。
「け、ケーキですよ!ケーキ!チーズケーキ!」
何がとうしたらこんなに黒くなんだよ…
でも、不器用ながらに作ったんだろうな。
粉とかぶっちゃかしたりして…
そう思うと少し笑えた。
「宮村には色々、お世話なってるし…その、いつも背中おしてくれるのは宮村で…ありがとね…本当に」
笹原は照れたように頬を染めて笑った。