ブンベツ【完】
やっぱり天気がこんな事になってることもあって車内が押し競饅頭のまま駅へと走り、下車する頃には雨が霙(みぞれ)に変わっていた。
人がごった返す駅に急いで駆け込もうとしたその時。
「おいバカ女」
雑踏にまぐれ、改札まで数メートルの所で聞き覚えのある声に足止めをされた。
声した方に視線を流せば、そこにいたのはニッと笑うその人は一週間ぶりのアスカさんだった。
「ははっバカ女って自分で言っててどうよ?って思っちまったよ」
「……あの、どうして?」
人の邪魔にならない所に立ってるアスカさん、そして引き止められた私。
嫌な予感しかしない私は怪訝に聞くと、
「お前どうせ暇だろ?飯奢ってやんよ」
こんな状況だというのにそんな事を言う出す始末。
年がら年中暇だと思われてる私を捕まえる為にわざわざ待ってたんだろうか。
「暇じゃありませんよ…。アスカさん外見ました?霙降ってますよ」
「霙だろ?平気平気、ちゃんと家まで送ってやっから」
「そういう事じゃなくて、電車が動くうちに私今日早く切り上げて貰ったんです。アスカさんとご飯を食べる為じゃありません」
霙じゃなかったとしても断っていたけども、そんな事言えるもなく。
この人と一緒にいてロクなことがないのは4年前から学習済みな訳で、ご飯なんて行ったらどんな意地悪をされるか分かったもんじゃない。