ブンベツ【完】
久々に会う所為か、今のこの現状が4年前のあの駅での出会いとなんだかリンクした。
『君、俺んとこで働かない?』
ご飯でも行かない?
みたいな軽い感じの勧誘だった。
今もあの時と全く変わらないヨシノさんが目の前にいて、一瞬意識が過去にトリップしたかのように錯覚を起こしたぐらいだ。
「本当に綺麗になった。てかなんか寝起きでシワの付いたスーツってエロい」
「あっ!!!」
そうだ、私昨日そのまま寝たからスーツがシワシワで昨日のようなキリッとした感じがまるでない!
このまま学校なんて行けない!
「ハイこれ、アスカから預かった」
パニクる私にヨシノさんが差し出したのは、確実に見覚えのあるコートと鞄。
「あ、あのこれ!」
「昨日あそこに置きっぱだったでしょ?靴もあるから安心して」
「す、すみません!!あ、あの私、」
昨日テンパって靴を脱ぎ捨てて挙げ句の果てに階段から軽く落ちた所為で荷物は置き去りになってたんだ。
それをわざわざこんな朝に届けてきてくれたんだろうか。
久々だというのにまたヨシノさんの手を煩わせてしまった。
「てかさっきから鞄の中で携帯鳴ってるから掛け直した方がいいよ」
「えっ?!?!」