ブンベツ【完】


どうやら私はお花屋さんというのを舐めてたらしい。

私の中のイメージでは穏やかな時間が永遠と流れてるんだと思ってたけど、それは勘違いだった。


『水替え』という作業を手伝うためカイさんの後を追っかけてお店へ出て、ざっくりと説明を受けたけど。

その作業は果たして11時に間に合うのか心配になってきた。


「カイさんこれ11時までに間に合います?」

「あんたがいい働きをすれば直ぐ終わる」


なんて私に責任を押し付けてくる始末で、猫の手も借りたい気分だ。


その『水替え』って言うのがかなりの曲者で。

花が折れてるのや枯れたり汚いのは取り除いたり、花の茎の足下2,3センチを切り落として花の入っていたバケツを洗い、新しい水を張りその中に花たちを入れる作業らしい。

私はカイさんが茎を切ってる間枯れてる花を探したり、切り終えた花のバケツを洗って新しい水を入れるの繰り返し。

いったい何回それを繰り返したのか分からなくなってた頃は、暑くて額に汗が滲んで足腰が痛くなってきたときだった。




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