ブンベツ【完】


だけど、全然苦痛に感じなかった。
寧ろちゃんと働いてる気がして気分がいい方だ。


「カイさんこの捨てる花が入ったビニール袋どうします?」

「今店開けっから裏口に捨てて来い」

「はい」


気付けば11時前であっという間に時間は過ぎたみたい。

我ながらいい働きっぷりをしたと思う。
汗水流して店内を駆けずり回って、お花屋さんも楽ではないらしい。


「カイさんはどうしてお花屋さんをやってるんですか?」

「始めたのはまた別の奴で俺は代役だ」

「代役?」

「そいつが店に立てなくなったから暇な俺が駆り出された」

「じゃあ丸々素人ですよね?包装とか出来るんですか?」


確かにカイさんが自ら進んでお花屋さんになろうって思ったなんて全然想像出来ないけど、代役ならまだ納得出来る部分はある。

やる気が見られないカイさんはお客さんが来たらどうするんだろう。

それとも自分の仏頂面に自信があるんだろうか。

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