ピッキング・カルテット
「もうこれで終わりになるといいな」

瑛太は息を吐くと、定位置へと足を向かわせた。

「最初はソウちゃんが歌うから、あたしはベースの方か」

夏々子は呟くと、ベースを手に持った。

桑田も丸椅子に腰を下ろすと、スティックを持った。

宗助はマイクスタンドの前に立つと、
「1番後ろ、聞こえるかー?」

マイクで会場の隅に立っているスタッフに呼びかけた。

スタッフが赤い旗をあげる。

聞こえているようだ。

次に瑛太がギターを弾き、その次に夏々子がベースを弾き、最後に桑田がドラムをたたいた。

「よし、今日のところはこれくらいにしよう。

明日は1曲ほど練習も兼ねて演奏して見よう」

そう言った宗助に、
「やっと終わったー」

桑田は椅子から腰をあげた。
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