ピッキング・カルテット
桑田はスーツの胸ポケットから携帯灰皿を出すと、タバコを揉み消した。

「行動開始、ね」

夏々子がニッと、歯を見せて笑った。

「では」

瑛太は胸ポケットからヘアピンを出すと、非常階段のドアの鍵穴にヘアピンを入れた。

ガチャッと、音がしてドアが開いた。

ピッキング(合鍵を使わずに道具を使って鍵を開ける行為)は瑛太の担当だ。

「どうぞ」

瑛太がドアを開け、促した。

「悪いな、瑛太」

宗助はそう言った後、非常階段をのぼった。

続けて夏々子、桑田、最後に瑛太が入ると、ドアを閉めた。
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