深海家奇譚






ーー日の昇りきらぬ、辺りの薄暗いときから私の一日は始まる。


城から程近い海辺の社に祈りを捧げるためだ。



母上が亡くなってから毎日欠かさず行われる御勤め。




母上は、十年前に津波を食い止めるための人柱となられた。



きっと。

そう遠くない将来。


私もそうやって死んでゆくのだろう。






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