誘惑~初めての男は彼氏の父~
***


 「ますます好きになった。もう離さない・・・」


 ベッドの上で放心状態の私を、佑典はぎゅっと抱きしめた。


 「好きで好きでたまらなくて、ブレーキが利かなかった。痛かった・・・よね? ごめん」


 涙ぐんでいる私の目を見て、女側の初体験特有の痛みによるものだと思い込んでいる。


 初体験ではないのだけど、痛みに襲われたのは事実。


 大好きな彼氏との初めての・・・が、私にとって苦痛の時間でしかなかったなんて。


 終わってこんなに安堵しているなんて・・・!


 「理恵の全てを、俺のものにできてとっても嬉しい」


 私の苦悩に気付くこともなく、佑典は私に向けて無邪気な微笑みを浮かべる。


 シーツに包まりながら、髪を撫でられる。


 「今回は互いに初めてだったから、何かと上手くはいかなかったけど・・・。次は二人同時に・・・」


 急に佑典の言葉が途絶え、髪を撫でる手も止まった。


 振り返って見つめると、疲れ切ったのか眠りに落ちていた。


 まさに天使の寝顔。
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