誘惑~初めての男は彼氏の父~
 水滴を部屋から持ち出したタオルで拭き取り、再び和仁さんの部屋に戻って鍵を閉めた。


 依然として静かに眠っている。


 起こさないようにもう一度ベッドに潜り込み、先ほどの行為と快感を思い起こす。


 またあのように抱かれたいと願ってしまう・・・。


 そんなことを考えているうちに、自然とまどろんでいた。


 どれくらい時間が経った頃だろうか、近くの道路で車のエンジン音が響いてきた。


 だんだん近づいているようで、音が大きくなってくる。


 (まさか・・・)


 私は完全に目が覚め、事態を観察していた。


 するとやはり予想通り・・・。


 エンジン音が完全に止まり、ドアの閉まる音がして、誰かがこの家に向かって歩いてくる。


 そして鍵を開ける音が!


 ドアを開こうとするが、チェーンが引っかかってそれ以上は開かない。


 暗くて状態が分からず、ドアをガチャガチャといじっている様子。


 そして・・・。


 チャイムをピンポンピンポン鳴らしながら、


 「父さーん。いるのかよ。このチェーン何とかしてほしいんだけど。家の中に入られない」


 佑典が帰宅した。
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