誘惑~初めての男は彼氏の父~
第2章

新学年

 翌年の四月。


 私は無事に、三年生に進級していた。


 佑典はついに四年生、卒業年次だ。


 七月の教員採用試験に向けての勉強と卒業論文執筆の準備が、いっそう忙しくなる。


 加えてまだまだ、オーケストラの活動も現役。


 佑典はサックスとクラリネットに類似した特殊な木管楽器を演奏しているのだけど、その首席奏者を務めている。


 何かと目立つポジションゆえ、日々の練習やトレーニングも怠れない。


 さてこの日は、部活動のオリエンテーションの日だった。


 新入部員勧誘のため、あちこちの部がクラブハウス内を行き来している。


 佑典のオーケストラ部も、例外ではない。


 コンクール入賞者をはじめとする経験者は、ほとんどが合格通知到着と共に入部が内定済み。


 でもそれ以外の初心者の勧誘も必要なのだ。


 このプロ顔負けのレベルの部では、大学入学後に一から始めてもまずついていけないのが実情。


 それでもマネジャーや雑用係などの縁の下の力持ち組も必要なので、部員たちは頑張って新入生を勧誘している。
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